【股関節の寿命を延ばす】「手術しかない」と諦める前に取り組むべき保存療法

変形性股関節症とは?
歩き始めや立ち上がる時に、足の付け根(鼠径部:そけいぶ)に痛みを感じることはありませんか?
それは、股関節のクッションである軟骨がすり減る変形性股関節症の初期サインかもしれません。
股関節は、骨盤のくぼみ(臼蓋:きゅうがい)に太ももの骨(大腿骨頭)がはまり込む構造をしています。
変形性股関節症は、軟骨が摩耗することで関節の隙間が狭くなり、炎症が起きたり骨が変形したりする疾患です。
日本では、生まれつき骨の被りが浅い「臼蓋形成不全」が原因で発症するケースが非常に多いのが特徴です。
症状が進行すると、「靴下が履きにくい」「階段の昇り降りが辛い」といった日常生活の制限が現れ、左右の足の長さに差が出ることもあります。
ならしの共生クリニックでは、画像診断で進行度(ステージ)を正確に把握し、痛みを抑えつつ、関節を支える筋肉を育てる「守りの保存療法」を徹底します。
なぜ「変形性股関節症」の早期診断と早期治療が重要なのか?
股関節は体重の数倍の負荷がかかる場所です。一度すり減った軟骨を完全に元に戻すことは困難ですが、早期の介入によって進行を大幅に遅らせることは可能です。
軟骨が残っているうちに治療を開始することで、骨同士が直接ぶつかり合う末期状態への移行を食い止めます。早期の炎症コントロールが、関節の寿命を左右します。
痛みで動かなくなると、関節を支える「中殿筋(ちゅうでんきん)」などの筋力が衰え、さらに軟骨の摩耗を早める悪循環に陥ります。早期から適切な負荷でリハビリを行うことが、将来の手術回避に直結します。
また股関節をかばって歩くと、腰痛や膝痛を併発しやすくなります。
体全体のバランスを評価し、「痛くない歩き方」を身につけることが、健康寿命を延ばす鍵となります。
「素朴な疑問」をスッキリ解消:変形性股関節症Q&A
- 痛みがある時は、安静にしていた方が良いのでしょうか?
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激痛がある時期(急性期)は安静が必要ですが、過度な安静は逆効果です。
関節を動かさないと周囲の筋肉が硬くなり、さらに関節が動かなくなる「拘縮(こうしゅく)」を招きます。
当院では、「関節に体重をかけずに動かす運動」などを指導し、関節の柔軟性を維持しながら痛みの改善を目指します。 - ダイエットは絶対に必要ですか?
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体重が1kg減るだけで、歩行時に股関節にかかる負担は3kg以上軽減されると言われています。
しかし、無理な食事制限は筋力を落としてしまいます。
当院では、リハビリテーションを通じて「動ける体」を作りながら、効率よく関節への負担を減らす生活アドバイスを行います。
変形性股関節症診療の安心3ステップ
ならしの共生クリニックでは、現在の状態を「見える化」し、納得感のある治療を進めます。
症状の詳細な評価と画像診断
骨の形状、軟骨の厚み、そして痛みの真の原因を突き止めます。
X線(レントゲン)検査で骨の被り具合や関節の隙間を確認します。
また、必要に応じてMRI検査を行い、レントゲンでは写らない初期の軟骨損傷や、関節内の水(関節水腫)、周囲の筋肉の炎症状態を詳細に評価します。
症状に応じた保存的治療の選択
手術を「最後の手段」とするために、今できる最善のケアを組み合わせます。
- 薬物療法・注射療法
炎症が強い場合は消炎鎮痛剤を使用します。また、関節の潤滑油となるヒアルロン酸注射を行い、摩擦を減らして動きをスムーズにします。 - リハビリテーション
理学療法士が、股関節を外側から支える「中殿筋」のトレーニングや、硬くなった股関節前面の筋肉をほぐすストレッチを個別指導します。自宅で無理なく続けられる「ホームエクササイズ」の定着をサポートします。
外科的治療への移行判断と連携
生活の質(QOL)を最優先に考え、最適なタイミングで外科的治療へ橋渡しをします。
保存療法を継続しても日常生活が著しく制限される場合や、末期状態で痛みがコントロールできない場合は、人工股関節置換術(THA)などの手術が適応となります。
その際は、高度医療機関へ速やかにご紹介し、手術前から術後のリハビリまで一貫してサポートできる体制を整えています。
変形性股関節症をコントロールする「3つの生活のヒント」
日々のちょっとした工夫が、股関節を摩耗から守ります。
1. 「和式」から「洋式」の生活へ
床に座る(あぐら・横座り)や低い椅子は、股関節に大きな負担をかけます。食事や就寝は「椅子とベッド」の生活に切り替え、立ち上がりの際の関節への負荷を最小限に抑えましょう。
2. 靴選びと「クッション性」
硬い床を歩く衝撃は股関節に直接伝わります。厚底でクッション性の高い靴を選び、必要に応じて機能性の高いインソールを活用することで、歩行時の「突き上げ感」を和らげます。
3. 水中ウォーキングの活用
股関節への負担を最も減らして全身運動ができるのがプールです。浮力によって体重負荷が激減するため、関節を痛めることなく筋力を維持できます。週に1〜2回、「浮かんで動かす」習慣を取り入れるのが理想的です。
こんなサインを見つけたら
股関節の違和感は、体が発している「摩耗の警告」です。
- 動き始め(布団から出る時、椅子から立つ時)に足の付け根が痛む。
- 爪切りや靴下を履く動作が、以前よりしにくくなった。
- 長時間歩くと、足の付け根だけでなく太ももや膝まで重だるくなる。
これらの症状があれば、ぜひ一度当院にご相談ください。「変形しているから治らない」のではなく、「変形とうまく付き合い、機能を維持する」ための方法を一緒に見つけていきましょう。
ならしの共生クリニックは、皆様が軽やかに歩み続けられる未来をサポートします。